スマホの普及とともに、詐欺の手口もますます巧妙化しています。
特に高齢者を狙ったスマホ詐欺は年々増加しており、「LINEで孫を装う」「市役所職員を名乗る」「不安を煽るSMSを送る」など、その内容は実に多様です。
この記事では、2025年現在の最新スマホ詐欺の手口と、高齢者が安心してスマホを使い続けるための具体的な対策を徹底解説します。
被害に遭わないためには、手口を知ること、そして自分や家族で対策をとることが重要です。
「自分は関係ない」と思っている方こそ、ぜひご覧いただきたい内容です。
なぜ高齢者がスマホ詐欺の標的になりやすいのか
デジタルに不慣れな世代が狙われやすい理由
高齢者がスマホ詐欺のターゲットにされる理由のひとつに、「デジタル操作への不慣れさ」があります。
スマートフォンやアプリの基本操作、警告表示の意味、送られてくるリンクの危険性など、慣れていないと判断が難しい場面が多々あります。
たとえば、「画面に“ウイルスに感染しました”と表示されたから、電話番号にかけた」という事例では、実際には偽の警告ページで、サポート詐欺につながっていました。
このように、正しい知識がないと、善意や不安が逆に被害の入口になってしまうのです。
「家族」や「市役所」を名乗る詐欺の特徴
詐欺グループは、信頼されやすい存在になりすまして近づいてきます。
特に「孫」「娘」「市役所の福祉課」「年金機構」などを名乗るケースは多く、高齢者の“信じたい気持ち”を逆手に取っています。
たとえば、「スマホが壊れたからこの番号にLINEして」と孫を装って連絡し、電子マネーを要求する「なりすましLINE詐欺」が2023年以降急増しました。
また、「医療費の払い戻しがあります」と市役所職員を装って銀行口座情報を聞き出す詐欺もあり、実在する制度の名前を使って信じ込ませる手口が見られます。
つまり、「知っている名前」「信じている機関」だからこそ、疑わずに情報を渡してしまうリスクがあるのです。
高齢者の心理を巧みに利用した騙しの手口
詐欺の巧妙な点は、単に偽の情報を送ってくるだけではなく、「相手の心理を操作する」ことにあります。
高齢者は、社会とのつながりを大切にしたい、家族に迷惑をかけたくない、自分が役立ちたいという思いが強い傾向にあります。
たとえば、「手続きを早く済ませないと年金が止まります」「今すぐ返信しないと口座が凍結されます」といった焦らせるメッセージは、その心理に訴える代表的な手口です。
ある70代の男性は、「自分がうっかりして家族に迷惑をかけたくなかったから、すぐに連絡してしまった」と語っていました。
このように、詐欺師は“心を読むプロ”であるため、気を抜いた一瞬が被害につながる可能性があるのです。
では、次に具体的にどんな詐欺の手口が増えているのか、最新情報を見ていきましょう。
2025年版・スマホ詐欺の最新手口とは
偽のSMS(ショートメッセージ)で不安をあおる手法
スマホ詐欺で最も多く使われる手口のひとつが、「偽のSMS(ショートメッセージ)」を使った詐欺です。
実在する企業や配送会社、金融機関などを装って「お荷物のお届けに関する重要なお知らせ」「クレジットカードが不正利用されました」などのメッセージを送り、不安を煽って偽サイトへ誘導します。
この偽サイトでIDやパスワード、カード情報を入力させられると、すぐに不正利用される危険があります。
たとえば、70代の女性が「宅配便の再配達連絡だと思ってリンクを開いたら、いつの間にかスマホの動きが遅くなった」という事例では、不正なアプリが勝手にインストールされていたことが後に判明しました。
このように、「重要そうな内容」こそ一呼吸置いて、公式アプリやサイトで確認する習慣が大切です。
LINEや通話を悪用した「なりすまし詐欺」
最近特に問題となっているのが、「LINEを使ったなりすまし詐欺」です。
「スマホが壊れた」「新しい番号だから登録して」とLINEで連絡が来て、実は孫や家族を装った第三者だったというケースが後を絶ちません。
その後「電子マネーを買って番号を送って」と要求されたり、「お金を振り込んでほしい」と頼まれることがあります。
たとえば、ある高齢の男性は、「孫が困っているのかと思って言われるままに5万円分の電子マネーを購入し、番号を送ってしまった」と証言しています。
このような詐欺は、実際の孫が使っているアイコン画像や口調まで真似るケースもあり、見抜くのが困難です。
そのため、「声で確認する」「本当か確認するまでお金は動かさない」といった基本を守ることが最重要です。
AI音声を使った“本人そっくり”詐欺の台頭
2025年に入り注目されている新たな手口が、「AIによる音声なりすまし」です。
本人のSNSなどにアップされた動画や音声データをもとにAIが“そっくりな声”を生成し、電話やLINEの音声メッセージで信頼を勝ち取るという詐欺です。
「おばあちゃん、僕だけど、ちょっと困ってて…」という音声を聞いたら、多くの人が疑わずに信じてしまうでしょう。
たとえば、80代の女性が実際に「孫の声そのままの音声メッセージ」がLINEで届き、信じかけたという報告もあります。
AI技術は便利である一方、悪用されれば信頼関係を逆手に取られるリスクにもなります。
だからこそ、音声やメッセージの内容だけで判断せず、必ず本人に直接電話で確認を取ることが基本です。
では次に、こうした詐欺から身を守るために、高齢者が日常的に取り入れられるスマホ対策を7つ紹介します。
スマホでできる具体的な詐欺対策7選
1. メッセージアプリのブロック&通報機能を活用する
知らない人から届いたLINEやSMSのメッセージには、必ず「ブロック」や「通報」機能を活用しましょう。
LINEでは、メッセージ画面右上の「︙(メニュー)」をタップし、「ブロック」または「通報」を選ぶことで、不審な相手とのやり取りを防ぐことができます。
たとえば、70代の男性が「不審なLINEが届いたけど、息子にブロックのやり方を教えてもらって安心できた」と話していたように、使い方さえ覚えれば誰でも実践可能です。
SMSでも、キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク等)によって迷惑メッセージを通報する仕組みがあります。
知らない番号や不安を感じる文面のメッセージは、反応せず即ブロック・通報することが被害を防ぐ第一歩です。
2. 不審なSMSやメールはURLを絶対に開かない
詐欺の入口の多くは、送られてきたSMSやメールの中にある「URLリンク」を不用意に開いてしまうことです。
たとえば、「荷物の再配達はこちら」「銀行からの大事なお知らせ」といった内容のリンクは、公式サイトに見せかけた偽ページに誘導される可能性が高いです。
URLを開いてしまうと、個人情報を入力させられたり、ウイルスを仕込まれたりといったリスクがあります。
70代の女性が「見た目は本物そっくりだったけど、息子に聞いたら偽サイトだった」と証言しており、開く前の“確認”が何より重要であることがわかります。
つまり、知らない人からのメッセージにあるURLは絶対に開かず、公式アプリや検索から正規サイトにアクセスすることが基本です。
3. セキュリティアプリの導入で危険を自動でブロック
スマホにセキュリティアプリを導入することで、多くの危険を未然に防ぐことができます。
たとえば、「ノートン」「ウイルスバスター」「カスペルスキー」などの有名なセキュリティアプリでは、不審なWebサイトへのアクセスを遮断したり、ウイルスやスパイアプリの検出・削除が可能です。
操作が不安な場合でも、初期設定さえ家族や販売店でサポートしてもらえば、その後は自動で守ってくれるため安心です。
実際に、80代の男性が「セキュリティアプリを入れてから、変なメッセージが来ても怖くなくなった」と話しており、心理的な安心にもつながります。
では次に、家族のサポートでできる詐欺防止の具体的な取り組みについて解説していきます。
家族でできる高齢者詐欺防止の取り組み
定期的な「電話での声かけ」で不安を減らす
家族による「日頃の声かけ」は、詐欺被害の抑止にとても大きな効果があります。
特に一人暮らしや、家族との会話が減っている高齢者は、不安や孤独を感じやすく、詐欺のターゲットになりやすい状況にあります。
たとえば、「最近おかしな電話やLINE来てない?」「変なメッセージがあったらすぐ見せてね」といった一言を習慣にするだけで、本人の意識が高まり、詐欺の入り込む隙を小さくすることができます。
ある家庭では、週に1回の電話でスマホの操作や困ったことを確認しており、「それが安心につながっている」と祖母が話していたそうです。
つまり、こまめな声かけは、情報共有の機会であり、心の安心にも直結するのです。
スマホの設定を家族が一緒に見直す
高齢者自身がスマホの設定を完璧に使いこなすのは、簡単ではありません。
だからこそ、家族が一緒に「セキュリティ設定」「不要な通知のオフ」「連絡先の管理」などをサポートしてあげることが大切です。
たとえば、「知らない番号からの着信は通知しないように設定する」「不審なメッセージはすぐブロックできるよう、やり方をメモしておく」といった実践的な対策が効果的です。
70代の女性は「娘にやってもらったら、画面に出ていた変な広告が出なくなって安心した」と喜んでいたとの報告もあります。
つまり、スマホの環境そのものを安全に整えておくことで、被害の可能性をぐっと減らすことができます。
詐欺に遭っても責めない、話しやすい環境づくり
万が一詐欺に遭ってしまった場合でも、家族が責めたり怒ったりすることは避けましょう。
被害を打ち明けにくくなると、さらに問題が深刻化してしまう可能性があるためです。
「誰でも騙される可能性があるから、すぐ教えてくれてありがとう」といった言葉をかけることで、次に同じことがあったときにも相談しやすくなります。
たとえば、ある家族では「怒られそうで言いにくかったけど、話したらすぐ対処してくれて助かった」という祖母の声があり、それ以降は日常的に相談できるようになったそうです。
つまり、被害を責めず、話しやすい雰囲気を日頃から作ることが、再発防止にもつながるのです。
それでは最後に、万が一被害に遭ってしまった場合に取るべき行動について解説します。
もし詐欺に遭ってしまったら?取るべき行動とは
まず誰に相談すればよいか(警察・消費者センター)
万が一、詐欺に遭ってしまった場合は、すぐに信頼できる機関に相談することが最優先です。
まず通報すべきは、最寄りの警察署または警察相談専用窓口(#9110)です。
また、消費者庁が運営する「消費者ホットライン(188)」では、地域の消費生活センターに繋がり、適切なアドバイスや対応を受けることができます。
たとえば、70代の男性が「詐欺と気づいてすぐ#9110に電話したら、被害届を出すよう勧められ、スムーズに手続きできた」と語っていました。
誰にも言えず時間が経つと、証拠が消えたり金銭が取り戻せなくなるケースもあるため、「おかしい」と思ったらすぐに行動することが重要です。
スマホ内の証拠データを保存するポイント
詐欺に遭ったとき、対応を円滑に進めるためには、スマホに残された証拠を消さずに保管しておくことが大切です。
保存すべき証拠は以下の通りです。
- 届いたメッセージ(LINE・SMS・メールなど)
- やり取りした相手のアカウント情報・電話番号
- 開いてしまったサイトの画面をスクリーンショット
- 電子マネーの購入履歴・番号
たとえば、ある80代の女性は、LINEの画面を家族に見せたことで、すぐに詐欺と判明し、警察にもスムーズに説明ができたそうです。
削除せず、できるだけ「そのままの状態で残す」ことが、対応を早める鍵になります。
再発防止のために見直すべきスマホ習慣
被害に遭った後は、同じ手口に引っかからないよう、スマホの使い方や習慣を見直すことが大切です。
見直すべきポイントには、以下のようなものがあります。
- 不要な通知はオフにする
- 連絡先に登録されていない相手の着信やメッセージは慎重に扱う
- パスワードや個人情報を簡単に入力しない
- 疑問に思ったらすぐ家族に相談する習慣を持つ
たとえば、ある家庭では「1日1回、スマホの通知を家族と一緒にチェックする習慣」を始めたことで、怪しいメッセージにすぐ気づけるようになったそうです。
このように、日々の使い方を見直し、気になることがあったらすぐに相談できる体制を整えておくことが、再発防止への最短ルートとなります。
それでは最後に、この記事の内容を振り返ってまとめましょう。
まとめ
スマホを活用する高齢者が増える中で、詐欺の手口も年々巧妙になってきています。
2025年現在では、偽のSMSやLINE、AI音声を使ったなりすましなど、従来の詐欺を超える“信じやすさ”を持った詐欺が台頭しています。
しかし、手口を知り、対策を学び、日常に取り入れていくことで、詐欺被害を確実に減らすことは可能です。
メッセージを見極める力、URLをむやみに開かない意識、セキュリティ設定の見直し、家族との連携、そして何より「すぐ相談する」ことが、詐欺から身を守る最大の武器です。
どんなに注意していても被害に遭ってしまうことはありますが、重要なのは「そこで諦めないこと」「責めずに支え合うこと」です。
安心してスマホを使い続けるために、この記事を通じて1つでも実行できる対策を見つけていただけたなら幸いです。
どうか今日からできることを1つずつ取り入れて、安全なスマホライフを築いていってください。
コメント